岡田温司の新書を全部読んだ

黙示録――イメージの源泉 (岩波新書)
 

 先日本屋で『黙示録』に気づいて、「あれっ、この人また新書出してるよ」と購入して楽しく読みました。この著者の新書を読むのは4冊目です。すると、オタクっぽい「コンプリート欲」がムクムクと湧いてきてしまい、『マグダラのマリア』『キリストの身体』『デスマスク』も一気読みしてしまいました。

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岡田温司中公新書岩波新書は次のとおり。1〜2年に一冊のハイペースです。

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どれもヨーロッパ美術史がテーマで、『グランドツアー』『デスマスク』以外はキリスト教美術がメイン。聖書の記述やキリスト教の歴史からエピソードを解説しつつ、そのエピソードに関連した古代・ルネサンス・近代の美術を紹介し、現代の芸術についてもちょっと触れ、その時代時代の人々の思想に迫る、という感じ。

どの本も私はウヒョウヒョと読みましたが、「何が面白いのか」と言われると困るのであります。「ヨーロッパ文化ってキモくて面白いよねー」と言っても通じないだろうなあ。

謎なのは、「この著者はなんでこんなに本を出せるのか」ということです。新書ブームに乗っかったビジネス本ではなく、時事ネタ本でもなく、ガチの古き良き「教養のための新書」です。執筆には相当の手間がかかっているはずだけど、面白がって読んでいるのは俺だけじゃないのか。それともある程度の売上があるので、出版社から依頼が続いているのだろうか。

著者は京大の教授ですが、昨今の大学の先生と言えば、予算が削られたり雑用に追われたりしてヒーヒー言っているはず。京大はまだ余裕があるのだろうか。それとも仕事をしているふりをして本を書く達人なのだろうか。